こんにちは! テトルの本村拓人です!

本日は引き続きNPO法人『一新塾』代表理事、森嶋氏のインタビュー(後編)をお送りいたします。

主体的市民の輩出を志し、日々奮闘する森嶋氏。驚かされたのは日韓草の根交流を市民レベルで実現しているという事実。

我々日本人が政治家の傘の下ではなく、国内・国外問わず政治や国際経済に主体的、且つ、積極的に関わる日もそう遠くはないだろう。

森嶋さんは学生時代、どんな学生だったんですか?

そうですね。私は中学・高校と敷かれたレールをいくのがとにかく嫌でした。よく、授業を抜け出して仲間と喫茶店で数時間に渡って議論するということをやっていました。時々、横浜だったので天気がよいと海に行っては「人生とは何だ?」とか「社会のあるべき姿は?」とか、延々と熱く語り合っていました。あの時の感じと今の一新塾で議論している感じがちょっと似ていますね。その後、社会人になっても、こうした青臭さは染み付いたままでした。

一新塾の「日韓草の根交流」についてご説明いただけますか?

日韓草の根交流のきっかけはおこったのは2003年に韓国テレビ局「KBS」より一新塾が三日間密着取材を受けました。10%の視聴率ということでしたから、韓国400万人の方に一新塾を知っていただいたことになります。
何がニュースになったかというと「平日夜や土・日に普通のビジネスマンが集まってきて、政策を論じ提言したり、NPOを立ち上げたり、社会の問題解決のために動き出した、韓国ではこうした動きはなかなかない」ということでした。

取材の最終日に、特派員の許鎮さんとカメラマンの趙華行さんから「入塾させてください!」とのことで、それから1年間、一新塾で学び議論した同志です。許さんは、ソウルに戻る送別会の席で「ソウルに一新塾をつくりたい!」との言葉をいただきました。
「それでは、まずは交流からはじめましょう」と話が決まりました。偶然にもその二日後、今度は別ルートで、「平成維新の会」の同志であり、ソウルの慶熙大学大学院に留学中の中藤弘彦さんから「国会議員の補佐官を中心に、市民団体の代表やベンチャー企業のCEO、ジャーナリストなど韓国のネクストリーダーが、日本のネクストリーダーと未来志向で毎年相互に訪問しあう韓日草の根交流を、一新塾で検討できないか?」との連絡が入り、企画はとんとん拍子で具体化していきました。

そして、2005年、未来志向で相互に訪問しあう交流を、ということで、韓国のネクストリーダー20名と一新塾有志20名で、日韓草の根交流がの人たちが韓国でスタートしました。当時、政治の世界では日韓関係は非常にぎくしゃくした関係でしたが、草の根レベルなので歴史認識も本音で語り合うことができました。市民同士の、腹を割っての本音の議論だからこそ、本当の知恵が生まれてくるのだと思います。それから、韓国のメンバーから「歴史の話は横においておきましょう。未来思考で具体的なプロジェクトを生み出す関係を構築しましょう」といった提案もいただきました。韓国のメンバーから、日本メンバーとの絆を深めて、本当の同志になりたいとの熱い思いが伝わってきました。

一度交流をきっかけに、それぞれのメンバー同志は、個々に自由に交流を深め、具体的な事業に結びつける人たちも出てきました。また、何度か、韓国から一新塾に視察にお越しになる方も増えてきました。市民団体の方、政府関係の方など様々でした。一新塾は、政党から中立ですし、企業と違って営利でもなく、市民の立場だから付き合いやすいと伺いました。 

昨今、日本と韓国の政策課題は非常に似てきているんですね。少子化・高齢化問題、過熱する受験戦争、環境問題、核家族などなど。これが実現するかどうかは将来の楽しみなのですが、同時に両政府に対して「日韓同時提言」をしたいと考えています。今は本当にグローバルになってきていますから、国境を越えて、お互い市民レベルで繋がって、市民同士で知恵を出して、市民発の政策を実現させてしまう。まだ、構想段階ですけれどね。 

森嶋さんが韓国から学びたいこととは?

とにかくITの仕掛けが本当に面白いんですね。若者を惹きつけ、しかも、政治にものすごく入り込んでいる。例えば、ポスダック社は、政治家証券市場といって、国会議員を株式市場のようにサイバーマネーで売買できるホームページを開設しました。政治家の発言、行動によって“政治家株”が上下するので、市民の政治への関心が大きく変わりました。会員は50万人を超えました。そのシステムをポスダック社CEOのシン・チョルホ氏が、「日本の民主主義に寄与するのだったら無償提供してもいい」との申し出をいただきました。

そこで、一新塾が仲介役として、運営の担い手を公募しました。そして、非営利株式会社の「アジアの贈り物」が、受け皿組織に決まり、現在、日本版にアレンジして、「政治家証券市場」と「市民からの政策提言」の両方を兼ね備えたサイトが、間もなく立ち上がる予定です。

韓国側の日本への関心というのはどういった部分なんでしょうか? 

地方自治ですね。しかし、そこに至るまでにはいろいろ葛藤もあったようです。かつては、落選運動など国をターゲットとする活動ばかりでした。落選運動というのは、国会議員選挙が始まる前に、立候補者の中からこの人は落としましょう、という人を100名くらいリストアップしてキャンペーンをやるんですね。リストアップされた7割から8割くらいの立候補者が実際に落選している。しかし、次の選挙では、また蘇ってしまうそうです。これを繰り返しても何も産まない。本質的な改革をするのであれば、地方から変えていかないと駄目だと。その部分については、やはり日本の方が進んでいると言うんです。例えば、日本で最も改革の進んでいる長野県の田中知事に会いたいということで韓国メンバー20名以上と3時間に渡っての議論も実現しました。その後、小布施のまちづくりの現場を見て、町長と議論しました。韓国メンバーは、今、地方自治にとても興味を抱いていますね。

一新塾の事業モデル(ビジネスモデル)とは? 

あえて言うのであれば、知恵と志の高い人材が集まる仕組み。もっと言うと私が挑戦したいのはお金だけの満足ではなく、人々の精神まで届く満足なんですね。知恵ある人が、自分が果たせる充実感を求めて投資したものが、社会にこんなプロセスが生まれて、こんな社会が生まれてという、その達成感と社会が変わったという満足度。それが配当ですよね。
そんな純粋なモデルとして、お金じゃなければ説明できなかったことが、志の対価だけでもちゃんとまわるモデルがあるという事を示していきたいんです。

もともと一新塾は、「平成維新の会」を母体に生み出されたのですが、はじめはボランタリーにみんなで立ち上げたんですね。皆で、寄付金を集めるところから。初期の頃は、授業料収入だけでは厳しい状況もありました。一新塾は、市民活動や政治から社会変革へアプローチ。加えて、ビジネスから社会変革へアプローチということで、2年目にはアタッカーズ・ビジネススクール(ABS)が立ち上がります。

実は、ABSの方が一新塾より収益性が高いんですよ。ある時まで、アタッカーズスクールで出た収益を一新塾にまわして、全体として帳尻を合わせていた時期がありました。その後、両校は、それぞれが発展していきます。そして、将来ビジョンの相違がはっきりしてきます。一新塾はNPO。ABSは上場。はじめは株式会社でスタートした一新塾でしたが、徐々に独立してもやっていける力をつけていたので、2002年、NPOとして独立。それぞれの道を歩むこととなりました。

ずばり、一新塾の使命とはなんでしょうか?

日本社会に主体的市民を輩出することです。その延長線上で、人生かけてやってやろうと、  一つは政治の道に、もう一つは社会起業の道に挑まれる方もいます。一新塾出身の政治家は、これまでに地方議員を70人輩出し、現職では66名です。国会議員も5名輩出しています。8割型はサラリーマン出身です。地盤・看板・カバンなしで、志と政策一本で道を拓いていく。組織やバックがないと、うまくいかないというのが一般的ですが、道は拓くものです。

政治家輩出と聞くと松下政経塾を連想してしまう方も多いと思うんですが、一新塾と松下政経塾の大きな違いとは? 

松下政経塾は少数精鋭のエリート養成学校といったイメージがあります。高倍率の試験と年齢制限があって選ばれた方のみが入れます。近年の入塾者数は毎年6〜7名程度。そして、会社を辞めて全寮制の生活を送ることになります。さらに、受講料を払う必要はなく、逆に研修費をいただける、そんな風に聞いています。

一方、一新塾は、全ての人たちに門戸が開かれています。想いがあれば、誰でも参加することができます。毎年200人近くの人が入塾され、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄など、全国各地で活動しています。また、「働きながら市民の立場で社会貢献!」がモットーです。生活者主権を実現する主体的市民の輩出が基本的な理念です。

これまでに社会起業家をどのくらい輩出されていますか?

現在までに、64名の社会起業家を輩出しています。前号で紹介されていた、みやじ豚の宮治勇輔さんも一新塾OBです。また、グリーンピア土佐横浪のハコモノ再生に挑んだ深田智之さん。現在は、会津若松の東山温泉で地域再生ファンドを活用し3旅館の面的再生に挑戦。今年7月には再生の実績が評価され、なんと、よそ者の立場から東山温泉観光協会長となり、今度は、旅館のみならず温泉街の再生に挑みます。
また、2002年に「日経新聞」などで、日本で最初に「LOHAS(ロハス)」を紹介され、今年7月に、LBA(ロハス・ビジネス・アライアンス)を設立した大和田順子さん。途上国から世界に通用するブランドをつくろうと、マザーハウスを起業し、バングラデュでジュートバッグのブランド化に挑戦した山口絵里子さん。自分たち夫婦が子育てで困った体験がトリガーとなり脱サラして、NPO法人病時保育を作る会を起業した賀川祐二さん。
バイオの中核とされるゲノム創薬分野を手がける日本企業として初の上場を果たしたアンジェスエムジー社長の山田英さん。まだまだ紹介しきれませんが、みな、一新塾出身の方々です。

ちなみに、いつ頃から社会起業家の輩出プロジェクトを始動されたんですか?

2000年からです。一新塾は政策学校としてスタートしたわけですが、当初は、政策提言や市民活動のプロジェクトが中心でした。ところが、本気で問題解決しようという思いが強くなればなるほど、片手までは済まなくなる。自分のミッションを果たさずにはいられなくなる。社会の問題解決に人生賭けて打ち込みたい!食べていけるなら、会社を辞めて、たとえ年収が3割、4割下がっても、社会問題の解決の為に働きたいというといった方が急速にどんどん増えてきたのです。こうした方々のニーズに応えるべく、社会起業家養成コースを開始しました。

一新塾の今後のビジョンを教えてください

現在ですね、一新塾を全国各地に作って欲しいというニーズが高まりつつあります。特に今年になってからは、九州、特に福岡からの問い合わせが非常に多くなって「福岡でも一新塾拠点を作ってほしい!」との要望が殺到し、福岡一新塾拠点の立ち上げを決めました。

韓国、中国をはじめとするアジアとの交流も非常に盛んで、積極的なコラボレーションも生まれています。何か新しい時代の風が吹いているのを予感します。また、沖縄拠点も、塾生、OB・OGの協力で立ち上がりつつあります。既に、大阪と名古屋には一新塾拠点が整備されています。
現在、地域格差の問題は深刻なテーマです。そんな中、これからの地域再生はその地域だけで問題解決を考えるのではなく、人・情報・金が集まっている「首都圏」と「地域」の二拠点を結び、地域を見据えての戦略が有効ではないでしょうか?

地域格差解決のために、特に重要なのは、人材だと思います。東京など首都圏では、多くの人材が、自分の人生の次のステージとして、自分が活動できる地域のフィールドを探しています。地域で起業する塾生たちも多いです。地域に飛び込むことで自らのミッションと市民性に目覚め、自らの可能性を存分に開いているのです。一方、地域の人たちは、そうしたよそ者の身を投じる姿勢を見て、今度は、「自分たちも!」と、目覚めは連鎖し、地域は活性化していきます。まずは、動ける人から動いてしまう。それが、地域格差解決の一番の知恵かもしれません。

一新塾は、人材マッチングと地域再生の知恵とノウハウの相互交換をさらに加速するために、首都圏と全国の地域を結ぶネットワークを張り巡らせていきたいと思っています。

拠点を作るときにお金が必要になると思うんですが、その資金はどのように調達されるんですか?   

ボランティアパワーが原動力です。一新塾そのものも、ボランティアの手によって、誕生した歴史があります。塾です。人はお金だけで集まるのではないと思います。志を熱く語れば、必ず、受け止めてくれる人がいる。それによって、東京、名古屋、大阪の場が少しずつですが、育まれてきました。現在運営がスムーズになされているのも、多くのOB・OGボランティアの協力があってこそです。やはり、志が高い仲間に集まってきていただいているということが、何よりの財産です。

今後の課題とは?

私自身が、地域の現場にもっと足を運びながら、現場からの最先端の知恵を吸収して、新たな地域再生モデルや政策を生み出す環境づくりをしたいと思っています。橋渡しとして、もっと地域を頻繁に行き来できるようになることが、まずは優先的な課題です。NPOとして独立して5年経ち、塾運営の基盤も固まってきましたので、いよいよ次に何をするかとなると、全国の地域にリーチを伸ばしていきたいと思っています。

組織内の人材はどうですか?

人材については、役員7名、専従スタッフは2名、アルバイト、ボランティアで運営がなされています。大きいのは、ボランティアの「運営スタッフ」の存在です。一新塾OBOGで志願していただいた方で編成され、現在、20名。日々、塾生の学びを見守っていただき、塾生はどんな力を鍛錬すべきか、どんな知恵やノウハウを次に提供すればよいか、プログラム開発や学びの場作りを進化させるために、随時、意見交換しながら進めています。

また、塾生プロジェクトに相談役で関わります。さらに、塾生募集の場面でも、説明会で参加者に体験談を語っていただくなど、あらゆる面で塾運営をサポートしていただいています。みな、多忙の合間を縫って駆けつけていただいており本当に感謝しています。

読者へのメッセージをお願いいたします。

市民の手による新しい国づくり、地域づくりの実験を、ぜひ、皆さんと一緒に挑戦したいです。 かつては、社会創造の作業は選ばれた一部の人たちのものでした。例えば、政治家や官僚、有識者たちです。しかし、全ての人は、社会を創造する権利をもっています。この最も創造的で心躍るこの作業こそ、私たち市民の手に取り戻したいと思います。
かつて、官主導型社会がありました。それは、マジョリティである私たちが“国民”として、
頑張りました。次に訪れた、企業主導型社会。マジョリティである私たちが“会社人間”として奮闘しました。そして、いよいよ訪れる市民主導社会。マジョリティである私たちが“市民”として、社会創造に挑む時代の到来です。ぜひ、皆さんのお力をお貸しください!

 

 

森嶋氏のインタビューは以上になります。
来週は広告制作会社(株)MAQ(マック)取締役山阪氏へのインタビューをお送りいたします。
クリエイティブの力を駆使して推進する
『ゴミ置き場をアートにするプロジェクト』
市民参加型のアートを私たちの街東京にしかける社会起業家。

みなさま、ぜひお見逃しなく!
!


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Profile
Interviewie photo

NPO法人[政策学校]一新塾
代表理事・事務局長 

森嶋 伸夫 Nobuo Morishima

1964年生まれ。

88年より、積水ハウス(株)で、「都市開発」「まちづくり」の仕事に携わり様々な立場の人たちとの出会いの中で、日本人が組織の論理の中でいかに自分のミッションを犠牲にしながら生きているかを痛感。
一新塾第3期に入塾し、異質同志がぶつかり合うことの 計り知れない可能性を実感。97年政策学校一新塾マネージャーに就任。03年一新塾のNPO法人化に伴い、代表理事・事務局長就任。

主体的市民養成プログラム開発に力を注ぎ、毎年20以上の「政策提言」「社会起業」「市民プロジェクト」のインキュベーションに関わる。この10年間で2400名の主体的市民の輩出に携わる。


詳しくは→ 
【NPO法人[政策学校]一新塾】
http://www.isshinjuku.com/

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本村拓人(もとむら たくと)

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テトルとは?

『一新力』

自分をALL CLEARする勇気 
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“主体的市民”を輩出しつづけて11年。

新しい自分と社会を創造する、日本で唯一、市民のための政策学校「一新塾」。

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