こんにちは! テトルの本村拓人です!

今号も前号に引き続きオキタリュウイチ氏のインタビューをお送りいたします。

約8年前にオキタさんがプロデュースされた『ヘブンズパスポート』とは?

「キレる17才」が世間で騒がれていた時に、100個のいい事をするための手帖を作りました。当時は「キレる17才」は、生まれてきたことが悪だという位置づけだった。実際そんなことはなくて、もっと改善されていくし、もっとポジティブに変換されていくはずだという試みからこの企画は生まれました。 

トータルで15万人がこの企画に参加してくれて、様々なメディアにも取り上げられました。でも私の中で1つだけ課題があった。『ヘブンズパスポート』のモデルは自分自身が全てを仕掛けないといけないということです。

そこから得た教訓で意識したのが、プロジェクトが勝手に育っていくということ。今回の『生きテク』の公式サイトでのアーカイブの発想も、より多くの人に参加してもらいたかったという想いからきています。存在そのものが生き物で、どんどん増殖していくことによって、他の国でもプロジェクトを展開していけるわけです。

当時はインターネットもそんなに発達していなかったため、数年間その仕組みについて思考錯誤を繰り返しながら、一方では徐々に自分の実力をつけてきました。こうゆう風にやっていけばプロジェクトを継続していける、というソリューションを見出しつつあったので、第二段となる『自殺ゼロキャンペーン』を始めることにしました。

オキタさんが仕掛けられているプロジェクトは本当に進行スピードが速いですよね?

構想自体は屈折7年あったので、どちらかというとノウハウを蓄積したり、ビジネススキル・表現スキルを向上させることを目標にしてた時期がわりとあったので、ライスワークを重点的にやってました。あと、一度も就職したことがないので、世の中の構造をまず理解してなかった。

経験を重ねる中で、世の中の構造を学びました。逆に世の中の事が分かりすぎてモチベーションを落としたこともありました。予算と納期があって、それに縛られてしまうということです。いくらの予算で、納期がいつで、何を作って、誰がやるのかという基本的なことに縛られているために、発想にリミットがかかってしまう。

そういう時は社会変革は決して起こせないわけですから、非常に自分のモチベーションが下がりました。それで、昨年の11月くらいからもう一度リセットして社会の概念をもう一度崩そうということで自発的に無茶なことを言うようになりました。だから時間の概念を全く無視していて、そうすることで意外に様々な激しいことができるということがわかってきました。

社会の基本を学んで型を知ったからこそできたわけですよね?

破壊したんですよね。全部社会の基本や常識といわれるものを一度ね。すごい恐かったですよ実際は。あと、いろんなところで講演もするので、「ソーシャルベンチャーの講演をする人」というラベルが張られたときがありました。先生みたいになるわけですね。ただ、先生っていうのは社会変革できないと思う。社会変革している先生ってそもそもいないじゃないですか? また、コンサルタントも同様、コンサルやっている人って実業があまりできなかったりするんです。

だから、そこも基本概念を捨ててある種馬鹿になるというか、「忘れる力」というのが必要で、一度忘れる為の努力をするべきです。3ヶ月くらいトレーニングを重ねて全て忘れるんです。実際は勿論覚えているんですけど、要するに気にしないという力が備わるんです。だから、ここまでいくまでにはそれ相応の時間はかかりました。今年の3月の頭くらいには結構忘れることが出来て、世の中の仕組みとかをなるべく忘れようというよりも、歴史軸で考えようと思いました。

歴史軸ですか?

『ヘブンズパスポート』をプロデュースした時もそうでしたが、そもそも私は徳島にいましたから、その徳島のフリマでパスポートを売っていたんですね。川沿いの1日40人しか通らない辺鄙なところでですよ。ただ、「これは絶対世の中を変える」と信じてはいました。なぜなら、四国にいても歴史を変えた人物は今までもこれからもいるはずだと考えていました。昔は通信手段なんて、鳩とかの足に書類をくくりつけて伝達していたわけゃないですか?(笑)そう考えると今はもっと短期間で社会変革ができるはずだという、めちゃくちゃな論理でやっていました。

それでも1年半後に15万人が『ヘブンズパスポート』を買ってくれたわけです。この結果は明らかな勘違いから始まったからこそ結果が出せたんだと思っています。だからこそ、世の中を変えるためにはポジティブな勘違いが必要。破天荒で全く世の中の事を分かっていなかった時の方が、歴史と比較しながら世の中の事を実際に変えられたわけです。しかも短期間で変えられた。今回のプロジェクトもこの感覚は絶対に必要だと思います。

さて、これまでにオキタ氏が実施されたキャンペーンについてお聞かせ下さい。

プロジェクトが始まって約半年くらい経ちましたが、現在までに様々な試みを実行してきました。キツネ隊というキャンペーンをまずはじめに実施しました。キツネのお面を被った人たちが「コンコン」いいながら生きテク冊子を配っていくキャンペーンです。このプロジェクトはもともとメディアへのアプローチを意識したものでしたので、キツネのお面を被った人たちが渋谷の街頭で冊子を配布をしていたらおもしろいじゃないですか? 

私はキャンペーンを行う際何通りもの仮説を立ててから実施しますので、こんな事をやったらこんな反響が得られるだろう、などのシュミレーションをしっかりと頭の中で描いてから実行します。広告やキャンペーンは全て相手があることなので、本当に想定通りの反応があるかは実際実行してからでないと分からないというのは勿論あります。

また、半年間たって改めて気づいた事でもあるんですが、協力してくれる人は自分以外の存在ですので、当然ですが、このように動いてくれたらよいなと思ってもやっぱり全部が全部思い通りに動いてくれないんですね。メディアも同じで、こんな風に取材してくれるとよいと思っていても現実的にはうまく取材してもらえなかったりするわけです。

このようにキャンペーン等の活動を通してプロジェクトに対する確信も得ましたが、反対に「もっとこうすればよかった」という反省点も浮き彫りになったのは事実です。ただ、メディアに露出することによって生きテクサイトのページビュー(PV)数が増えたという事をはじめ、感触としては「戦略や仮説は間違っていなかった」という確信の方がやはり大きく、自信になりました。

どれくらいのページビュー(PV数)になったんですか?

9月の一ヶ月間のページビューはなんと10万PVまで到達しました。当時生きテクサイトは全部で25ページくらいしかなかったんですが、今はそのコンテンツも50までに成長させました。ただ、構想としてはスタート時点で150の生きテクコンテンツが存在したサイトをオープンしている状態で、その中で既にユーザーさんが自分にあった生きテク情報を自由に閲覧できるというものでしたが、大分遅れてしまいました。

そんな中でも解析すると10万PVまで到達したこと、また、数千人の人が日に何度もページに訪れるようになったことが証明されました。もし、構想していた通り150のコンテンツを準備できていればもっとおもしろいことになっていたと思います。

さて、課題も見えてきたという事で、次なる戦略についてお聞かせ下さい?

生きテクのコンテンツが今度は本当にユーザーにとって効果的かを検証しながらコンテンツをブラッシュアップし、より効果的なコンテンツにしていきたいと考えています。勿論、PVも同時に意識していくつもりです。そう考えると、この生きテクサイトで自殺に対する問題解決をする人が日に日に増えていくと思います。

さらに、世の中には相談できないと人が存在します。相談できない完璧主義者で優秀な方々は相談することによって完璧性を失い、それにより自信を失い、死ぬほうがよいと考えるといったプライドをとる人にとってはこの生きテクサイトは非常に役に立つと考えています。

ただ、逆に相談したい人もいますので、相談したい人たちをターゲットにしたコンテンツ制作も必要になります。自殺をしようとしている人たちにアプローチを取ろうとしている団体も日本には多数存在しますので、具体的に団体名は公表できませんが、そういった団体と共にプロジェクトを進行させていくのも非常に重要だと思います。

その為にもまずはこのプロジェクトの認知度を高めることがタイアップを進める上でも必要最低限の条件になります。また、自殺防止のノウハウが生きテクサイトに沢山蓄積されているというのもまた重要な要素となります。

そのような構想と戦略の中で今年7月22日、9月16日に話題となった生きテクのキャンペーンを実施することになるんですね?

私たちはもともと70万人の会員を持っているサイトを運営していたり、実家に油田があるといったコア・コンピタンスがあったわけではありません。要するに、全てゼロからこのプロジェクトを進めなければなりませんでした。どうやって無から有を作り出すかということを考えた上で、まず、プロジェクトの前半はとにかく他の団体や個人とコラボレーションする事を前提に活動していました。

勿論、私たちは相手からしてみると何か強みを持っている状態ではありませんので、この構想に懐疑的になってしまうのも仕方がないと思います。そんな中ではじめにコラボレーションを実現できたのが久米繊維さんでした。同団体はT-シャツを作っているメーカーさんで、社会的に意義のあるイベントや活動には積極的に参加されています。

ある日、「T-シャツを使って何か生きテクの活動にお役立てください」といううれしいご提案をいただきました。そこで、どうやったらT-シャツを使ってこのプロジェクトの認知度を高めることができるかを考えました。

結果的に、T-シャツ自体がメッセージになり、プロジェクト参加者がそのメッセージT-シャツを着て歩くという事で、多くの人たちが振り返ってみるという企画を考案しました。街を歩く人が何人このT-シャツを見るかということを視聴率と捉え、高視聴率を獲得できるT-シャツをメディアとして捉え、それをいろんな場所で、いろんな人が歩き回って勝手に宣伝しているというような企画になれば効果はでるだろうと考えました。

それが生きテクT-シャツのそもそものコンセプトというわけですね?

そうですね。自分がメディアになろうというコンセプトを打ち出して企画を進行させました。構想としては数年前に映画『マトリックス』に登場する『エージェントスミス』の格好をした人が渋谷駅に突如現れ、総勢100人のエージェントスミスが吉野家に行ったりして、エージェントスミス様と書いた領収書を吉野家からいただくといった企画が実際にあったんですね。しかも、それが噂を呼びニュース番組にも取り上げられていました。

この企画の重要なポイントは、後天的に作られたニュースではあったものの、私のように多くの人の記憶に残っているという側面に私は非常に鼓舞されました。そこで、100人で生きテク(メディアT-シャツ)をゲリラ的に様々な場所をねり歩くという企画を実施することで、多くの人の記憶に残るのではないかという仮説と、様々なメディアでこの100人T‐シャツのキャンペーンが取り上げらる可能性は高いと考えました。

それが7月22日のキャンペーンということですね?

そうですね。実際にNHKからの取材が入ったりとメディアに対する戦略は案の定あたりました。100人のスタッフが実際にキャンペーンに集ったのも本当にうれしいことですが、もう1回くらい今年中に100人のT‐シャツキャンペーンをやりたいと思うようになり、丁度自殺予防週間があるということで、その最終日となる9月16日に2回目のキャンペーンを行いました。『100人隊リターンズ』となずけました笑。2回目も1回目と同様かなり高い効果を得ることができました。

そもそも私がこの2回のキャンペーンを通じて成し遂げたかったことは「生きテクという自殺を回避する問題解決のノウハウを集めたサイトが世の中にあります」という事実をより多くの人に知ってもらいたかったんですね。結果として、メディアへの露出は生きテクサイトのアクセス数に大きな影響を与えました。

また、この生きテクサイトを見てから実際にどのようにユーザーの反応が変わったのかを実証することもこれから重要になってきます。また、何万人がこの生きテクサイトを閲覧していて、何万人が今日自殺するのをやめたのかというのかという数値も分かるようにシステムを組んでいます。この数が増えることで、必ずや警察庁や厚生省が公開している自殺者の数値が減っていくわけなので、おそらく今年、もしくは来年のうちには自殺者の数が生きテクサイトの効果で減少したと言えるようになっていると思います。

となると、今年から来年の頭にかけては生きテクサイトをもっと多くの人に知ってもらうためのピーアール活動が継続的に必要になってくるわけですね?

そうですね。そのためにもいろいろなアクションをとっていこうと考えています。生きテクサイトはもっと精査し、本当に自殺防止に効く『薬』にします。自殺を防止する情報は集ってはいるものの、それが実際どれだけの効果があったのか?というサイトの閲覧者からの報告は未だにありません。このフィードバックをいかに獲得できるかにも重点をおきながら活動していきます。

また、まだお名前は公表できませんが、某国鉄の車両の中刷り広告を、生きテクサイトに集っている自殺を防止するコンテンツにしてもらうという構想があります。すでに話しは進んでいますが、それがようやく実現しそうな段階までこぎ着けました。おそらく、来年の2月くらいに実施できると思います。

構想としては死にたいと思った人々が電車に乗ったとします。私たちはその中吊り広告に「死にたいな」と人が思う原因を実際に解決したアクションプランを全車両の中吊り広告で公開するわけです。これによって「今日は死ぬのは辞めておこう」と、一度死ぬ機会を逃させることで、死ぬ気をうせさせます。

そんなに簡単にいかないよ?などと思われる方も多いのですが、既に生きテクに自殺解決法を提供してくださった方の中に、実際に自殺の計画を完璧に立て、何月何日の何時にどこどこに行って、この方法で死ぬと決めていた方がいました。しかし、その自殺を計画した当日、予定時刻に遅刻してしまったことで自殺するタイミングを逃してしまいました。

そもそも自殺志望者は完璧主義者が多いので、その方も目的が遂行できなかったことで「死ぬことに挫折した」と落ち込み、死ぬこと自体嫌になってしまったと回想してくれました。要するに出鼻をくじくとという戦略です。結果として、死ぬという目的が達成できなくなったことで、その後自殺するタイミングを失い、結局自殺する機会を失ったという人が実際にいらっしゃったんですね。そう考えると、自殺を決行しようとしている人たちにある種の挫折を味わってもらうという逆アプローチになると思います。

なるほど、確かに自殺志望者の特性を踏まえて考えるとかなり電車の中吊り広告は効果的ですね。ところで、今年は100人T-シャツキャンペーンの他に何かイベントやキャンペーンを実施する予定はありますか?

イベントを直近で企画しています。12月の中旬に『T-シャツ100人隊』展なるイベントをおこないます。その展示会では100人T-シャツキャンペーンの詳細を映像で撮ってありますので、編集したものを随時放映します。同時にT‐シャツも展示します。7月22日、9月16日に一体何が起こったのか?が分かるようなイベントにする予定です。

また、この12月に開催するイベントのプレイベントという位置づけで実は今月、11月10日にもイベントに参加することがきまりました。これは私が主催するというわけではありませんが、池袋で『楽縁際』という社会人が企画・進行するイベントが池袋の廃校で行われます。そこにお声をかけていただいておりますので私たちも参加します。

さらに、11月11日から18日までの1週間、このメルマガにも既に登場された松村拓也氏が企画・運営コーディネーターを勤めております『CSS』という渋谷のマークシティ4階にあるガラス張りの場所で展示をさせていただくことになりました。特に過剰な演出はできませんが、人通りは多い立地条件と、ガラス張りという利点をいかして展示会を盛り上げようと思っています。お時間が許せば、このメルマガをご覧になっている読者の方々にも是非参加していただきたいですね。

 

 

オキタ氏のインタビュー(中編)は以上になります。

次号はオキタ氏のインタビュー最終章になります。

『生きテク』や『自殺ゼロキャンペーン』そして、その土台となった『ヘブンズパスポート』といった社会課題や偏見を独自の切り口と戦略で解決していくオキタ氏。

最終章となる次号はオキタ氏が何故これまでに社会変革にこだわるかの真相にせまります。

みなさま、お見逃しなく!!


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Profile
Interviewie photo

Okita Museum. Inc
代表取締役社長兼CEO

オキタリュウイチOkita Ryuichi

1998年、成功哲学に社会貢献を取り入れるというコンセプト構築、クリエイティブ戦略のもとに商品化した、『ヘブンズ・パスポート』を雑貨展開する。

1999年、『ヘブンズ・パスポート』が渋谷を中心とした高校生にブレイクし、15万部(1億5千万円相当)を売り上げる。また、現代用語の基礎知識にも記載され、アエラを始めとする、各メディアに取り上げられる。さらにロイター通信にも取材され、海外の新聞にも「日本の文化」として紹介される。

1999年、『ヘブンズ・パスポート』の成功例から、コンセプト設計・企画立案・ブランディング・アートディレクション・コピー・デザインワーク・デザインコンサルティング等のクリエイティブ・ファームを目指し、有限会社オキタリュウイチ事務所を設立する。

1999年、建設省(現国土交通省)の企画『リバーキーパーズ』の企画総指揮。

2002年、自治労主催 自治研全国集会(4000人規模・1週間のイベント)のブランディング・デザインワークを手がける。

2002年、『urashima system』と称するプロジェクトを立ち上げる。日比野克彦氏やヘルムートシュミット氏、夢枕獏氏など、約30名程のアーティストに呼びかけ、日本発現代のお伽話として海外に輸出するプロジェクトを進行する。

2004年、多数の企業ブランディングコンサルティング事業を開始。株式会社に組織変更『okita-museum』とする。

2006年、メディアでの社会変革プロジェクト「ポジメディア」を発表、法人化する。

2007年、『自殺ゼロキャンペーン』本格始動。
高野山金剛峰寺ブランディングプロジェクトに参画。


詳しくは→ 

【Okita Museum,Inc】http://www.okita-museum.com/

【PosiMEDiA】http://www.posi-media.net/

【生きテク】http://ikiteku.net/

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『今が幸せ、いつも今。』

今が幸せ、いつも今

1999年に15万部のセールスを記録した『ヘブンズ・パスポート』を世に出したクリエイター・オキタリュウイチ氏の初の詩画集。日々の生活に疲れた時や戸惑いを感じた時に読みたくなる一冊です。