こんにちは!
テトルの本村拓人です!
今回は、「ごみを資源に、350万人の雇用を創り出す」ウェイストコンサーン代表 マスクー
ド・シンハ氏に突撃取材したインタビューを配信したいと思います。
シンハ氏は、
バングラディッシュでゴミを再資源化するための5つの事業を推進し、
ゴミを減らす過程で、多くの雇用を生み出すことに成功しました。
「社会を変えるには情熱だけではなく、一般企業と互角にわたりあえるビジネスの力が
不可欠だ。そもそも社会企業と一般企業はさほど変わらない。
違うのは、稼いだお金をどのように社会に還元していくか」だけなのだという言葉が印象的でした。
何が、あなたを社会起業家にさせたのですか?
私はタイのアジア工科大学修士課程で都市のごみ問題と環境マネージメントを学んでいました。そこで私は一冊の本に出会うわけなんですが、当時農業界では知らない人がいないくらい著名な本で、ゴミの再資源化(リサイクル)の分野に関する本でした。それを基に無我夢中で私はリサイクルについて勉強したんですね。当時は街の悪臭がどこから発生しているのか? という問題の解決すら困難な状況でした。
母国バングラディッシュではゴミ問題が当時から大きな問題の一つでしたからね。それでも私が博士号を取得した後にタイから帰国した時は、母国バングラディッシュでたくさんの事に気づかされました。多くの貧困層の人々が、ゴミを生活費の糧にする為にできるだけ多くのゴミをゴミ処理場やゴミ置き場から、トラックの荷台へ積んで持ち帰るのを目撃しました。まさに、ゴミと共に生活を余儀なくされている状況といったところでしょうか? 彼ら(一日を1ドルまたは2ドル以下で生活している人)にとっては、ゴミは宝の山なのです。
そこで、私達はゴミを堆肥に変換させ、ゴミを減らしながら再利用すると同時に、貧困層に収入の機会が与えられるようなサービスを提供しはじめました。しだいに市民はその方法を理解する事で、ゴミを売る事が出来ることを学び、農業地帯でも、いままでにはない余分な収入を得る事を実現しました。
どうしてウェイストコンサーンを設立されたんですか?
今から約15年前、1994年に私達はウェイストコンサーンを起業しました。設立の根本的な目的はもちろんお金ではなく、私もイフテカ(協同経営社兼ウェイスト・コンサーン協同設立者)も、そもそも自身の生活を維持する為に現状よりももっと収入が欲しいなどとは考えていませんでした。その点においての価値感がイフテカと共通していたことは幸運なことでした。現在ウェイストコンサーンを社会企業(ソーシャル・ビジネス・エンタープライズ)と呼んでいるのも、その会社設立の理念があったからだと思います。
例えば、ウェイストコンサーングループの中に政府に対してコンサルティング(ゴミの管理と再資源化)を行っている事業があります。その企業は政府や民間の企業からコンサルティング費用を得ていますが、そこで稼いだお金はウェイストコンサーンに再投資されるのです。
シンハ氏が定義する社会企業とは?
私達は身近なコミュニティだけではなく、社会全体を大切にしなければならないと思っています。それを具現的な行動する為にもウェイストコンサーンは社会の為に利益を再投資します。つまり、私達の会社は他の典型的な営利企業とその点でまったく異なる事業スタイルで運営しています。私達は投資家に一度も配当を行っておりませんが、その利益を再投資して、次の社会的に意義のある事業を拡大・成長させていきます。これが私達が考える社会企業のあり方だと思っています。す。
現在どのくらいの人たちが直接的・間接的にウェイストコンサーンと関わりを持っているんですか?
ダッカ市内で、ウェイストコンサーンは主に5つの事業を運営・管理しています。その中の一つだけが純粋なNPOとして活動しています。直接的に私達が雇っている人の数は全部で約60人弱ですね。また、私達のビジネスモデルを活用して数多くの複製団体やビジネスがバングラディッシュで育っています。国内だけでなく、海外もベトナム、スリランカ、チュニジアなどの遠方の国も私達のモデルを利用しています。首都ダッカだけでも約16,000の新たな仕事を創り出しました。また国単位で換算すると100,000もの仕事を創出している事になります。ゴミを再資源化する工程の中で仕事を作る事ができるのです。だから、多くの人をその工程(プロジェクト)の中に包含することができたんだと思います。
ウェイスト・コンサ−ンのビジネスがここまで発展した成功要因はありますか?
ネバ−ギブアップの精神は非常に重要ですね。
私達がビジネスを始めた時「そんなのできっこない」だとか、とにかく私達のビジネスプランにけちをつけたり、笑ったりする人が大勢いました。そして、みんなが私達に「どうしてこの産業でビジネス展開をするのか?」などと訊ねられもしました。さらに「この産業にはもうビジネスチャンスはないし、第一これはあなた達の仕事ではなく、政府がやる仕事だ」などとも散々言われました。
私達には当時からはっきりとしたビジョンがありましたし、このビジョンを持つためにも現状の分析を怠る事はしませんでした。また、革新的なビジネスというものはテクノロジ−の発展・開発に起因する場合もありますが、私達は徹底的にデータを集めて、研究に研究を重ねた結果を大切にしたのです。たとえ他にどんな調査結果があっても私達は仮説、検証を重ね、必ず答えを導きだしてきました。もし、あなたが社会企業や一般企業を起こそうとしているのであれば、情報が不足した状態で革新的なビジネスプランを作ることはできないことを十分認識するべきだと思います。
さらに、閃いたアイディアは必ず持ち続ける事。これは非常に大切な成功要因になります。もし、今あなたにすばらしいアイディアがあれば、その思いと素晴らしいアイディアに沿って行動するべきです。しかし、多くの人はそれらのアイディアを頭の中に持ち続けないで、あきらめてどこかに置いてきてしまいます。勿論、私達はお金を運んでくる仕事をほうり投げたりはしなかった。だってもったいないじゃないですか?ウェイストコンサーンが設立される前からもうかれこれ14年、15年間、私はその事業プランを常に考えています。そして、どうしたら現在の事業がより企業として革新的に発展するかを常に考え続けています。
そして、情報と証拠集めで武装しながら勇気と自信を得ることも非常に重要です。それと共に、チ−ムでプロジェクトを進める事も必須です。私達は一度も単独でプロジェクトを進めません。むしろ、社会全体(政府や市民、一般企業)を巻き込む事こそが両者にとって最も有益な構造だと信じています。そして、人を巻き込む時に重要な要素がいかに相手に有益性を感じさせるか? 関わる人が各々の利益の上に乗ってもらう(私達はそれをBENEFIT
ROUTEとよんでいますが)メカニズムを作りあげるまでには多少時間がかかるかもしれません。しかし、それをやり遂げた時にこそプロジェクトの加速度は急激に上がります。もしあなたが利益を感じられなければ参加も興味も抱きませんよね? その為にも関わる人の利益を考察する必要はあるでしょう。
我々の事業を例にすると、ステークホルダーとして、一般家庭から出るゴミがビジネスの肝になってきます。となると、いかに市民にゴミの山が一掃されるイメージを具体的に示せるか。ゴミが散乱していることにより、悪臭や街の景観が崩れるといった2次的な問題もしっかりと認識してもらうことも重要でした。たとえば、ゴミがない事によって子供たちも元気にしかも安全に遊べるようになる。賃貸用の家の価値も上がるとなれば、そこに起因している当事者たちは自然と協力的になりますよね?
政府からの視点で考えると、今まで多額の(数億円)投資をゴミ回収作業に当ててきた分を我々が回収する事で、そこに使っていた費用や労力を抑えること出来ます。最終的にはあれほど私達のビジネスプランに対して保守的だった政府からゴミを再資源化する為の工場を建設する為に必要な土地を提供してくれるまでになったんですからね。
また、市民もゴミをお金と交換できるとなれば、ゴミを資源として直接的に認識することができますよね。ただ、我々は社会企業です。社会的に意義のあるビジネスを成立させる事が最大の使命です。そしたら、『ウェイストコンサーンの利益は?』ってよく聞かれるんですね。(笑)『その利益こそ、社会の為に何か良いことをし続けること』と私達は答えます。それはすなわち、Money
Is Not Main(お金稼ぎが主軸にはなりえない)ということですね(笑)
最後に読者に何かメッセージをお願いします。
上記でも述べていますが、社会企業と一般企業の間にはさほど違いはありません。要するに稼いだお金をどのように社会に還元していくか? なのです。
営利企業の場合は間接的に社会に還元される可能性があります。なぜなら、投資家に配当金として還元されるからです。一方、社会企業の大きな側面は、あくまで稼いだお金を次の社会的意義のある事業に再投資をするか、ということです。つまりは、直接的に社会に事業として還元されるということです。私はただ、新しい事業を通して社会の問題を解決したかった。いたってシンプルですよね。だから、みなさんにも難しく考えず、様々な人たちを巻き込んで、しかも楽しく、一度描いた夢や希望をあきらめないでいき続けて欲しいですね。
長文におつきあい頂き、ありがとうございました!
次号は、
タイ北部チェンマイにあるAIDS孤児施設「バーンロムサイ」代表、名取美和氏のインタビューです!
乞うご期待!
ウェイストコンサーン代表
アブ・ハスナト・MD・
マスクード・シンハ
- 1963年4月4日
-
多国籍企業社長の子としてバングラデッシュ・ダッカに生まれる。
タイ・バンコクAsian Institute of Technology (都市環境経営)修士号 - 1995年
- ウェストコンサーン設立2000年
Ashoka Fellowship For The Year 受賞 - 2001年
- Fast誌最も成長の早い
企業経営者の一人に選出2002年
Race Against Poverty Award
受賞 - 2003年
- Oustanding Social Entrepreueur 受賞
また、『未来を変える80人』に掲載されたことで日本でも著名な社会起業家。
本村拓人(もとむら たくと)
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フランスの若者2人が、世界を旅しながら取材した社会起業家を紹介するエッセイ。登場するのは、様々な分野でサステナブル・デベロップメント(持続可能な発展)に尽力する80人。貧困や情報格差を是正し、資源枯渇を食い止め、絶滅の危機にある生物を守り、廃棄物や殺虫剤による公害を防ごうと格闘する世界中のリーダーたちの思想、仕事ぶりを描く。

