こんにちは!
テトルの本村拓人です!
今号は前号に引き続きNPOフローレンス代表、駒崎弘樹氏のインタビュー(中編)をお送りいたします。
フローレンスの経営方針はいたってシンプルだ。その道に特化したビジネスパーソンを社外に配置した布陣で事業を展開している。例えば、財務面。その道のスペシャリストと堅実なパートナーシップを組みながら事業の穴を掘り出し、解決策を見つけ出す。
駒崎氏との取材で、私は社会起業家が事業を誰とやるのか?この疑問に対する答えを見つけた気がする。また、営利・非営利問わずその業界・事業への可能性を引き出す人間に人はついていくのだろう。私は駒崎氏の冷静な分析と、視野の広い洞察力が多くの人を惹きつけ続けているように感じる。
経営上の課題とは?
まず、経営面では今年度に黒字化する見通しが立って、初期の損益分岐は達成できました。ただ、収益構造は定期的に変えていく必要があります。発展を目指すための業務プロセスの改善も、課題となっています。
次に、病児保育の仕組みを東京だけではなく、全国に広げていきたい。私たち自身が全国に赴くのは無理な話なので、やり方を具現化、可視化し、全国の事業所に広げていくようなモデル・マニュアル作りが必要です。その一環として現在は国からお金を出してもらい、フローレンスでのマニュアルをオンライン化、システム化することで、誰でも真似のできる普遍的な形にして全国各地に発信しています。
他には課題がありますか?
成長期なので、人事的な課題があります。スタッフの年代が20代から60代まで広範囲で、特に私より年上のスタッフが多いのが現状です。スタッフは、保育をするスタッフと、保育をしながら本部の業務をするスタッフに分かれているので、それぞれ、個人のキャリア形成や、役職の責任範囲や作業の分担を明確化していく必要があります。
ITベンチャー時代は若さもあり、曖昧になんとなく決めていましたが、現在は様々な年代の方々が働いていますので、しっかりと明確化しないといけない。社会保険などの雇用条件も整えていかなければ、生活の保障もできません。
若手のNPOは非常に勢いがあるのですが、特にこの、自分よりも上の世代の人たちをいかに巻き込んでいくのか、というのは大きな課題だと思います。私も組織を運営する立場として、自分よりも年上の方々をマネージするのは様々な側面から見ても難しさはあります。価値観も能力も多種多様です。採用もそうですが、採用後の連携もはやり課題になってきます。
中でも一番辛いのは、戦略的なことではなく、コミュニケーション。例えば、若手であれば責任を与えて、仕事をさせてあげれば自己満足するわけです。さらに定期的にレビューをすることで自立性は保たれます。しかし年上の方々だと「あなたの存在そのものが素晴らしい」といった感情的なところからアプローチしないと動いてくれません。私はわりとロジックでいく左脳人間で、感情を出していくのは非常に苦手ですので、日々、コミュニケーションの事で悩んでいる(笑)。
ここは私自身成長しなければいけません。日々まさに人を動かすということを学んでいるように思います。特に女性と男性を分ける訳ではありませんが、スタッフの9割が女性なので、男子校出身の私としては非常に大きな課題ですね(笑)。
なぜ今メディアがNPOフローレンスをこれほどまでに取り上げていると思いますか? また、お金を持っている方々もやはり投資先としてNPOフローレンスを選んでいる、その理由も、同様に客観的な視点でお聞きしたいです。なぜ今、フローレンスなのか?
メディアに関しては、理事の秋山訓子さん(ジャーナリスト)によるところが大きいと思います。アエラの記者なんですが、彼女がプレスリリースのかけ方を教えてくれています。当初私はプレスリリースすら分かりませんでした。要するにメディアに対して長けた知識や戦略を持っている訳では決してありませんでした。
しかし、メディアがわかる秋山さんのような外部の方々に知恵を借りて、発信をしていたところ、記者さんが来てくれて、自分の考えていることを話したら記事になったわけです。その記事の影響で、他紙の記者さんから自紙でも取り上げたいと要望をうけ、記事が記事を呼ぶという連鎖が起きている状態です。
私がそもそも定期的に人間関係を深くするといった行為が得意じゃないんですね。なので、うちの理事の岡本佳美(マーケッター)が見せ方を考えくれたり。PRに関して、今なぜフローレンスなのかといったら、ただ単に今ブームなんだと思います。病児保育というテーマがわかりやすく、日本が抱えていた課題だったので火がついただけだと思います。
社会起業家に関しても、たまたまムハマド・ユヌス氏が2006年度のノーベル平和賞を受賞しただけであって、私は彼と何の関係もありません(笑)。だから流れなんだと思いますね。ただ、ワークライフバランスはちょっと狙った部分はあります。来るだろうなと思っていたのは事実です。
ちなみにいつぐらいからワークライフバランスに注目していたんですか?
3年半くらい前からワークライフバランスという概念を知っていたのですが、病児保育をやりながらも構造的に解決するためには、これだろうなと思っていた。その時は日本ではメジャーではありませんでした。ただ、アメリカで流行るものって日本でも何年か後にはやるわけですよね。
後は成熟経済になればなるほど単純なモノ作りだと立ち行かなくなる事は分かっていましたし、ある程度予測の範囲内で仕掛けと準備はしていました。現在ワークライフバランスは国の少子化戦略の目玉になっています。長い横文字だから、ここまでくるとは思いっていませんでしたけれどね。
ワークライフバランス事業はこれから徐々に市場が大きくなり、収益性もかなり高くなる予測があるのでは?
そうですね。ただ、私はただの火つけ役。最初に着火して、広がっていくのを見ればよいんだと思います。そうでないと、私たちがやろうとしている役割ってその市場の中でもの凄く大きくなって、大資本と立ち向かわなくてはならなくなるわけです。だからこそ、立ち向かうよりも大資本が参入してくるプラットフォームを作るという方が私は健全であり立場としても非常に合理的だと思います。
私一人が社会起業家ですといってもあまり効果がなくて、いろんな人がやってるからソーシャルマーケットが広がるわけですよね。だから、着火してあとはプラットフォームが広がるようにして、自分のノウハウを提供しましょうという形で広がり、深まっていけば世の中よくなっていくわけですよね。
全部自分でやろうとしたらすごく大変ですよ。一生かかってしまいますからね。だけど、人が関わってくれるのであればその場を提供することのほうがやはり無難ですね。
理事やアドバイザーとして関わっている人たちが、ビジネスに精通されている方々たちなんですね?
プロフェッショナルなスキルに関することは、理事会に行って「今こういう状況なんです」と説明しています。財務面はカーライルというファンドで働いている方に理事になってもらい、指導していただいています。特に財務に関しては非常に厳しい指摘をしてもらっています。
数値の変動などの詰まった資料をもとに、多角的な視点から厳しい指摘や質問が飛び交います。経費に関しても言い逃れできないほど鋭い指摘をしてもらえます。きついですが、経営上財務の部分はしっかりと修正し続けていかなければいけないのでありがたいです。ビジネスで一流の方々がアドバイザーとして協力してくれているのは非常に勉強になります。
アドバイザーの方々も非営利という組織運営をしっかりと学ばれているので、過剰な利益追求はしません。しかし、経済的自立というのは本当に重要な事だと捉えているので、その点については毎度厳しいポイントを突いた指摘がでるわけです。
彼らに較べると財務モデルなどはスマートに作れませんから、そういう意味では自分はビジネスセンスがそれほどあるとは思いませんね。というより、自分はビジネスに関しては才能がないなと思うぐらい理事の方々に言われています。ビジネスの人って無我夢中で事業に対してやって、収益性を伸ばしていくといった集中力が必要だと思うんですが、私はどちらかというと「世の中はこうあるべきだ」という抽象思考が結構好きなので、いわゆる経営者向きではないなと。とはいえ、頑張って勉強し続けています。外から見た駒崎と内側から見た駒崎とではすごいギャップがあるんだと思います。
駒崎氏のインタビュー(中編)は以上になります。
次号はフローレンス代表駒崎氏のインタビュー(後編)をお送り致します。駒崎氏がソーシャルマーケットに関心を抱き、社会的なムーブメントを与えるきっかけとなったのがアメリカの非営利セクターの実態である。氏が3年前に自らの目で捉えた米国の非営利セクターの実態について迫ってみた。
みなさま、お見逃しなく!!
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NPO
フローレンス代表理事
駒崎弘樹 komasaki hiroki
- 1979年9月18日
- 東京都江東区生まれ
- 1999年
- 慶応義塾大学総合政策学部入学
- 2001年
- (有)ニューロンに共同経営者として参画。同社株式会社後、同社代表取締役社長に就任。学生ITベンチャー経営者として様々な技術を事業化
- 2003年
- フジタ未来経営賞を論文「日本型街づくり終焉」にて受賞
- 2004年
- 内閣府のNPO(特定非営利活動法人)認証を取得。代表理事に就任
- 2005年
- 保険的病児保育サポートシステム」である『フローレンスパック』をスタート。
- 2005年
- NPO法人日本チャイルドマインダー協会理事就任
- 2006年7月
- # 日本青年会議所主催 人間力大賞グランプリ「内閣府総理大臣奨励賞」受賞
- 2006年10月
- アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー(EOY Japan)セミファイナりスト選出
- 2007年
- ニューズウィーク「世界を変える社会起業家100人」に選出
詳しくは→
【NPO法人フローレンス】http://www.florence.or.jp/
【駒崎弘樹氏ブログ】http://komazaki.seesaa.net/
本村拓人(もとむら たくと)
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その小さなアクションが、世界を変える!元ITベンチャー経営者が、東京の下町で始めた「病児保育サービス」が全国に拡大。「自分たちの街を変える」それが「世の中を変える」ことにつながった。汗と涙と笑いにあふれた、感動の社会変革リアル・ストーリー。

