こんにちは!
テトルの本村拓人です!
今回は、シブヤ大学学長 左京泰明さんのインタビューを配信したいと思います。
学生時代はラグビー部の主将。
「200%燃えたい」という仕事への強い意欲は、大手商社で満たされることはなかった。そんなある日、社会貢献とビジネスをうまくバランスさせた活動に出会うことになり、「社会貢献」の概念をくつがえされたという。
それから、「本当に自分がどういった仕事をやりたいのか考えた結果、シブヤ大学で働くことに」なるまでの経緯と、これからの展望に迫ってみました。
シブヤ大学を始められたその経緯と動機とは何でしょうか?
学生時代、「どんな仕事がしたいかな?」と考えた時に、「何か人の役に立てるような仕事がしたいな」と思っていました。
公的機関への就職も考えたのですが、何となく「社会を動かすのは経済活動じゃないか」と思い、民間企業に入ることにしました。しかし、具体的にどんな職種かということは分からなかったので、そこで、まずは自分自身の社会人としての力をつけようと思い、会社を選びはじめました。会社を選ぶ時も、自分を成長させてくれるということと、海外に昔から興味があったということから、海外で仕事が出来る可能性の高い商社を選んだんですよ。また会社のなかで具体的には、経理の仕事を選びました。そして、働き始め、少しずつ会社の仕組みや、社会のことを学んでいくにつれ、自分が勤める会社が20、30年後の社会の中でどういった役割になのか、また、会社というシステムの中で、20、30年後の自分はどうなっていくのか、そんなことが見えてきた気がしたんですね。そこで、自分はどうなりたいのかなってあらためて考え始めたんですよね。仕事のこと、人生のことについて、様々な質問を自分自身に問いかけてみたりもしました。
2004年にワンガリ・マータイさんのGreen Belt Movementといわれる活動に出会ったんです。それまで「社会貢献」と呼ばれるものは、無償で、慈悲の精神にあふれて、何より経済活動とは切り離されているようなイメージがありました。あの活動ですごく素晴らしいと思ったのは、そこで植えた木が売れ、そこに携わった方たちがきちんと収入を得ることができる。家族をきちんと養えて、子供たちに教育を受けさせることができるということでした。つまり、個人レベルでいうと仕事として、組織レベルでいうと事業として、きちんと成立していたんですね。それを知った時に、初めて社会貢献と経済活動がバランスしているのを見た気がしました。「なるほど、こうゆうやりたかたもあるんだな」って。
それからアンテナを張りはじめたら、世界中で組織形態(NPO、民間企業)は問わず、そういった社会貢献とビジネスが上手くバランスしている事例が沢山あることに気づいたんですね。例えば、アメリカにはMBAホルダーたちがネットワークを形成して、自分たちが学んだビジネスの手法によって社会をよりよい方向へ向かわせる、といった団体もあるわけですよ。『世界を変える80人』(日経BP社)に掲載されていた事例もまさしくそうですけど、そういったMind、Mission、Visionみたいなものをもって、色んな分野で事業を営んでいる人たちが大勢いると知った時に、これは日本でもこれからそういった流れが必ずくるだろう、と思ったんですね。
またそもそも仕事への取り組み方として、とにかく一生懸命打ち込みたい、大きなチャレンジがしてみたいという気持ちがありました。自分の200%の力を出して取り組むみたいなものが楽しいっていうのは、学生時代ラグビーをやっていたときと同じ感覚かもしれません。チーム全員で目標をもって、情熱をもってひとつのことに取り組むこと、それはまさに事業をおこし、それを継続していくことに似ているじゃないですか? 会社にいる自分の将来を想像した時に200%は燃えないかなって思ってしまったら、自然と会社を辞めるという選択肢が出ていました。でも、先ほどのように何となくの方向性は見えたものの、会社を辞めて次に何をするかという具体的なこと、非常に肝心なことが決まってなかったのですから、そこには理屈ではない何か、言葉では上手く言えないのですが、どうすることも出来ない熱のようなものがありました。
そして会社を辞めて、その直後に偶然このシブヤ大学っていう大本のアイディアに出会うんです。それが2005年の11月、26歳の時。最初はシブヤ大学を仕事にしようとは特に思ってなかったのですが、考え始めると非常に面白い。同時に自分がこれから作りたいと思っていた事業に、シブヤ大学こそふさわしいのでは、と気づきました。その時は本当に鳥肌が立つ思いでした。
それから自分が中心となってプロジェクトを進めていきました。例えば、組織形態を考えると、シブヤ大学の事業分野は生涯学習。生涯学習みたいな取り組みは「民間企業・行政・市民それぞれが良いバランスで付き合い、支え合う事業体」こそふさわしいのではないか、だったらNPO法人がよいだろう、と。
左京さんをこのフィールドに突き動かしたのは何でしょうか? その一線を越えたきっかけをもう少し教えて頂きたいのですが。
それはシンプルに「自分はどんなふうに生きたいか」ということを考えた結果だと思っています。
よくNPO法人ということで、何かを我慢して社会のために尽くしているというようなイメージを抱かれることがありますが、そんなことは全くありません。収益をあげる、あげないということと、法人形態とは全く別の話ですから。法人形態は達成したい事柄に対して選択するあくまで手段のひとつだと思います。
すこし話がそれましたが、私が今の仕事をしていることは、つまり非常にポジティブな選択だと思っています。
では、シブヤ大学のおもしろさとかやりがいって何ですか?
まずは身近なところで言うと、授業に参加してくださった方々に喜んで頂けることはすごくうれしいし、やりがいがあります。そこが一番大事です。もう少し引いて見ると、生涯教育という分野で、行政・企業・市民の協働の、今までにないような仕組みを作ろうとしていること。これもやりがいがあります。例えば、シブヤ大学が小さな成功事例になれば、他の地域や、他の分野で、ヒントやきっかけになってまた面白いことが起こっていけばいいなあと思います。
当たり前ですが、何かを学ぶということは、すごく大事なことだと思っています。
我々の人生における幸福や、社会がより良い方向へ進むことを実現するために、ひとりひとりが学ぶことが必要です。
例えば選挙は一人一人が社会に対してできることですよね。それが企業の場合だったら、商品や株を買うことも一票と考えることも出来ると思います。例えば、生産地、労働条件、環境問題など様々な視点から考えて、どの商品を購入するか考えてみる。それも社会に対し影響を与えることです。
行動している中で生まれてきた「皆さんに伝えたい課題」ってありますか?
少し変だなと思うことは、「社会企業」という言葉が一人歩きして、あたかも特定の分野に携わる企業の総称みたいになっていることです。社会の問題を事業によって解決しようとする企業が社会企業であることはもちろんなのですが、企業というものはそもそも問題解決するものとも言える訳ですから。
以前、テレビでトヨタ自動車の会長室に飾ってある色紙に「利他」とあったんですね。これはあらゆる事業の本質だと思いました。「利他」とは「世のため、人のため」ということ。自利利他という言葉の意味は、世のため人のために何かをすることが、結局自分に返ってくるということです。
「社会企業」という言葉が、一過性のトレンドになるのではなく、そもそも社会の中での企業の在り方、存在の意味を問いかけるような流れに繋がっていけばと思っています。
今シブヤ大学が抱えている課題はありますか?
常に、「自分たちが社会に対して提供しているサービスは何か」ということを問うこと。そしてそれを改善すること。そして適切な収益構造を作り出す事が課題だと思います。現在は、主に授業のカタチでの学の場の提供が僕らのサービスであり商品です。それをもっと多くの人に提供できるようになりたいですね。また、授業だけでなくて、サークルや、部活動など、多様な学びの場作りをしていきたい。
後は、地域の資源を活用するという意味で、子供たちの学校教育もサポートしていきたいですね。或いは、シニア層へのサービスなんかも。これからも、街の資源をどんどん活用しながら面白い生涯教育事業を行っていきたいと思います。
読者に対してのメッセージはありますか?
シブヤ大学を運営する我々も「何かを教えよう」とは思ってないんですね。そんなことは無理です。それよりも「一緒に学びましょう」、「共に成長しましょう」というスタンスでやっています。だから、ぜひこれを読まれた方も「シブヤ大学で一緒に学びませんか?」という感じですね。
ある意味では、私が一番勉強させてもらっています(苦笑)
最後に、社会貢献にいまいち踏み込めないという人に対してコメントはありますか?
「社会企業」という言葉の話もそうですけど、「社会貢献」や「社会企業」みたいな言葉が、すごく狭い領域にカテゴライズされるのはあまり望ましくないと思います。特定の分野に携わる特定の人たちだけの問題ではなくて、我々ひとりひとりが考え、行動するべきことです。だから、「踏み込む」と言っても、必ずしも皆が何かのNPOに関わらなきゃいけないとか、仕事にするべき等ではなくて、それぞれが自分の生活のなかで出来る範囲内で、出来ることをきちんと責任を持ってやる。そして、それを継続していく。それが大切なことだと思います。
長文におつきあい頂き、ありがとうございました!
次号は、
IID(世田谷ものづくり学校校長
地域創業プロジェクト【せたがやかやっく】プロジェクトリーダー 松村拓也氏のインタビューです!
乞うご期待!
シブヤ大学 学長
左京 泰明 Yasuaki Sakyo
1979年生まれ。
福岡県出身。早稲田大学第二文学部卒。在学中は、体育会ラグビー蹴球部に所属。4年次は主将を務める。卒業後、住友商事に入社。経理部にて、会計・税務コンサルティングを担当し、事業運営の基礎を学ぶ。
2005年、自らの道を歩むべく退社を決意。同年、NPO法人グリーンバード代表の長谷部健氏に出会い、将来のビジョンなどで、お互いに意気投合。10月に退社した後、NPO法人グリーンバード副代表に就任、NPO法人運営全般のノウハウについて経験を積む。その後、長谷部氏が発案したプロジェクトである「シブヤ大学」に強い魅力と可能性を感じ、自ら同プロジェクトの代表として名乗りを上げる。
2006年4月、シブヤ大学学長に就任。現在に至る。
詳しくは、
http://www.shibuya-univ.net/
シブヤ大学学長日記
http://www.shibuya-univ.net/blog/
本村拓人(もとむら たくと)
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シブヤ大学の教科書
シブヤ大学ってごぞんじですか?
2006年9月に開校したシブヤ大学には、校舎がありません。渋谷区全体がキャンパスなんです。区の施設はもちろん、表参道ヒルズ、タワーレコード、青山ブックセンター、映画館、カフェ、病院、小学校……さまざまな施設を教室にして授業を行っています。
教授陣もなかなかのラインナップ。小林武史(音楽プロデューサー)、石川直樹(冒険家)、乙武洋匡(小学校教諭)、箭内道彦(クリエイティブディレクター)、一青窈(アー
ティスト)なんていうメジャーな方々から、病院の緩和ケア部長さん、美術館のキュレーターさん、布団職人さん、区の清掃事務所の方、カリスマホストに芸者さん……。ちょっと自慢の特別講師陣が、ズラリ勢揃いです。
人は学ぶことによって豊かになれる──私はそう信じています。そのための「学びの場」をシブヤ大学は提供していきます。
毎月第3土曜日はシブヤ大学の日。いつまでも卒業しないのがシブヤ大学の優等生です。あなたもぜひ、参加してください。
──学長・左京泰明。

