こんにちは!
テトルの本村拓人です!
今回は養豚業を切り口に日本の地域活性化を志す宮治氏のインタビューをご紹介します!
真っ直ぐな瞳で日本の第一産業の未来を愚直に語るその姿に、誰もがエールを送りたくなるはず。私自身、今まで全く関心も興味もなかった地域農村地帯のリアルが今では自分のリアル(問題)となった。
みやじ豚を創業されるまでの経緯は?
はじめは会社勤めをしていて、その時から親父には自分の構想を話していたんですが、「お前の言っていることは地に足がついてない」とか「理想論」と言われて、なかなか分かってもらえなかった。でも、ある時「そこまで言うなら勝手にやれ」と言われました。あの頑固な親父から。勿論すぐに「やらせてもらいます」と言いました。
それで会社をやめて、実家に戻ってくることになるんですけど、戻ってきた時は、みやじ豚はまだ法人化もされてなくて、個人としてまず何から手をつけようかと考えていたときに「メールニュースをやろう」と思いつきました。
イベントを開催しながら定期的に近況報告を配信しようと。はじめは単純に学生時代やパソナ時代に築いた友人や様々な方々と縁が切れるのも寂しいから月に一回イベント(みやじ豚BBQ)を開いていたのですが、実際に開いてみるとみんなから「いままでこんなおいしい豚食べたことなかった」「今度友達つれて遊びに来るよ」と言ってくれて、口コミでどんどんお客さんが増えていった。
今までのみやじ豚の事業はいわゆる養豚業で、豚を生ませて、育てて農協など卸会社に出荷をし、そこでお金をもらって終わりでした。でも僕がBBQをやることによって、お客様の口に直接届ける事ができるようになった。
これがやっぱりすごいインパクトで、通常の養豚業だと価格は相場で決められてしまっているから美味しい豚を育てても意味ないし、お客さんからの喜びの声とかは届きません。届くのは卸会社からのクレームばかり。それじゃ、やりがいのない農業になるもの当然の事だと思います。
僕が始めたのはBBQを通してみやじ豚をブランド化するということだったんですね。そのBBQのメリットはなんと言っても価格を自分で決める事ができるということです。たとえば、大人4000円、学生3500円なんて全部こっちで決めることができるわけです。しかもダイレクトにお客さんの感動している様子なんか伝わってくるのが、これまでの養豚業とはまったく違う部分です。
法人化するまでの1年間は、弟が現場を取り仕切って豚を育て、僕はみやじ豚としてブランド化するためにお客さんを集めてイベントを開催したり販売したりしてました。
生産からお客さんの口に届けるまでを一貫してプロデュースするといってはいるが、生産は親父と弟でお客さんを集めるのは僕という感じでばらばらだったので、一つの組織でやらないとだめだと思ったんです。だから、法人化して養豚業を展開していこうと。
そこでETIC.とのつながりが出てくるのでしょうか?
そうですね。ETIC.の佐々木健介という大学時代からの友達から連絡をもらって、「NEC社会起業塾っていうのがある」って教えてもらったんです。若手の社会起業家が半年間集って勉強するんですが、「見学に来ないか」と誘われました。
それが僕が参加したNEC社会起業家塾の一年前の起業塾で、当時のメンバーがコトバノアトリエの山本君とか、コンポジションの寺井君、JAMの西本さん、あとKKCの川口君とかね、そういう人たちが参加していた。
それでみんなの事業プレゼンを聞いていて、アドバイザーからの事業プランに対するダメだしがあったんですけど……(笑)。そんなのを見ていて「おおー、すごいな」と、こんなに的確にアドバイスが出来るんだ、という事と、あとはみんなもいろいろ試行錯誤しているという事がわかったんですね。
当然「俺はこの事業をやるんだ」っていって腹を据えてやっていたんですが、勿論まだまだはじめたばっかりで試行錯誤の中で頑張っていて、先輩の事業家やコンサルタントからアドバイスをもらって少しずつ成長をしながら自分の事業を進めているっていうのをつぶさに見させてもらいました。それで僕も応募しました。
どんなビジネスモデルを出されたんですか?
応募をする時にただの養豚業じゃ勿論ダメで、なんといっても社会起業塾なので、やっぱり社会貢献事業というか、社会に何かしらインパクトを与える、貢献するというビジネスモデルじゃないとだめなんです。
いろいろプランを練りました。生産からお客様の口に届けるところまでを一貫してプロデュースする。農家の息子が自信をもって「俺は農業をやっているんだ」と胸をはって後を継ぎたいといえる農業にしていきたいと思いました。
はじめはBBQプロデューサーっていうビジネスモデルでたたき台を作って提出しました。地方で東京のお客さんを呼んで、BBQをやる時は当然現地の野菜を使います。そこに農家の人にきてもらって、軽い都市農村交流をやるんですね。地域の農家で作っている野菜やお肉を食べてもらう。しかも会場が観光農園ですばらしいところなんです。
都会で月曜から金曜まで忙しく働いていたり、PCを一日中つかっていたり、高層ビルに囲まれながらサービス残業が当たりまえのサラリーマンに田舎に来ておいしいものを食べて、仲間とわいわいやって、のんびりとすごすというプチスローライフの提案をするビジネスプラン。
そうすることによって都会の人には田舎に来てもらって、田舎の人は自分のところの野菜だとかお肉を食べてもらって、直接お客様から喜びの声を聞く。また、お客様に野菜やお肉を売ることも出来る。
これは利益の増加にもなるなと思いました。単純に市場に出すのと直販するのとでは利益が2〜3倍違うんですよ。だからまず、BBQにきてもらって、味を知ってもらう、また、味をわかってもらった人にお肉を直販していくという戦略。
これこそがみやじ豚のモデルになるのでは、と思いました。なにかしらパッケージ商品にして成功したら地域の農家に広げようと同時に考えていました。BBQにきている農家の人たちにも協力してもらって、たとえばみやじ豚と農家の人たちの商品のパッケージを売っていくことも考えられますよね。それがBBQからの発展系にもなるのではと思いました。
みやじ豚は、現在NPO法人『湘南スタイル』とうまくタイアップしていますよね?ビジネスコンテストでも『湘南スタイル』とのタイアップモデルを提言したんですか?
そうですね、NPO法人湘南スタイルで運営している湘南地域のポータルサイトで、「湘南でも農業をがんばっているんだよ」って広報活動をしています。
面白いのが、農家の人にインタビューするとポロっと自分の夢や課題をあげてくれたりするんですね。それをひろい上げて想いをカタチにしてあげたいなと。
まず、湘南で頑張っている農家さんにインタビューをして記事を書く。その農家さんの夢を課題をひろい上げて商品開発を行う。BBQでテストマーケティングをして湘南ブランドとして販売をしていく。
その結果、農業の活性化と地域の活性化を同時に実現するモデルを湘南地域に創るという内容で応募しました。
その当時、僕らの時は35件くらい応募があって最終的に残ったのが5件でした。僕もその中に最終的に残ることができました。半年間インキュベーション期間ももらえたことはかなり重要なファクターになりました。スポンサーがNECで35万円とPC一台もらって、しかもただでコンサルティングを受けることができる。こんなにすばらしい事はないですよね?
その半年間のインキュベーション期間についてもう少々教えて下さい。
単刀直入に言うと、自分の事業に集中していくという覚悟を決める半年間だったと思います。当然ETIC.のまわりには「おまえらすごいな」っていう起業家たちが集まってきますし、そういう人たちと直接話をするだけで、パワーをもらえたり、俺も頑張んなきゃみたいな、それが最大の財産というかETIC.の社会起業塾に参加してよかった事の一つですね。
話を戻すと、インキュベーション期間が正式にスタートしたのが2006年の9月、それで終了したのが今年(2007年)の4月です。半年以上コンサルティングを徹底的にしてもらいました。ETIC.はいわゆる事業を伸ばすようなコンサルティングではなくて、どちらかというと「あなたはこれから社会起業家として世の中に出ていく。だから覚悟を決めてもらいますよ。」という機関として機能しています。
勿論いろんなアドバイスももらえるんだけど、事業をはじめて間もない起業家はいろいろと悩むわけです。自分の理想と現実のハザマの中でいろいろと不安になったり。例えば、「本当に俺の進んでいる方向って正しいのか」とか、「なかなか利益が出ないでしんどいなー」とか、そういう時期に精神的な自信をつけてくれたりするんです。
みんな迷いもあるし、自信もない。だから、その背中を押してくれたり、覚悟を決めさせてくれるというのが社会起業塾の役割なんだと思います。僕も散々いろいろ堂々巡りをしていましたし。
学生から社会人に至るまでの経緯を教えてください。
学生の頃から起業したいって言っていたんですが、自分にまだ実力がないなって思ったからまずは就職をして、力をつけてから起業をしようと考えていました。ということで僕は就職してパソナを選んだわけですが、もともと僕はベンチャー企業に行きたくて、社長が最初の説明会にでてくる会社にだけ応募していました。
だから、みんなが知っているような大企業は就職活動の選択肢には入らなかった。ただ、同じパソナに就職活動をしている人たちと話を重ねるうちに「こんな人たちと一緒に仕事ができたらな」と思いはじめました。実は就職活動をしていて一番尊敬できるなって思ったのはワタミグループの渡邉美樹社長。「この人は本当にすげぇーな」って思いました。渡邉美樹氏はすごいと思いましたが、渡邉社長のそばで働けるわけではなくそこで働いている人はそんなに尊敬できないと思い、ワタミは結局受けませんでした。
就職活動を続けているうちに、社長の魅力も大事だが、一緒に働く仲間も大事なんだと思い、最終的にパソナを選びました。
パソナから得たこと(スキル)って何ですか?
実際にパソナに入って仕事をはじめるにあたって、一番パソナが大事に思っているのが「ビジネスマナー」なんですね。はじめ三日間富士山研修が実施されるんです。3月下旬にですよ。富士山のふもとの研修所で徹底的にビジネスマナー研修を受けるわけです。これがよかったんでしょうね。
社会人になるってことは、ビジネスマナーが最低限必要なことです。僕も独立して人と人との出会いがすごい大事だって痛感したわけですが、人として最低限の礼儀・マナーが身についていないと社会人として取り扱ってもらえませんからね。
そういう意味ではその三日間のビジネスマナー研修っていうのは僕個人の重要な要素だと思います。また、パソナは人材派遣業が究極のサービス業なんだ、という教えをひたすら叩き込むわけなんです。
相手がして欲しいと思った事を、相手に言われる前にしてさしあげることがサービス業だと教えられました。いまだになかなかできませんが(笑)
あと、仕事は一人では何も進まない。パソナもベンチャー企業だと思っていたんですが、やっぱりすごい大企業で、大企業は仕組みがしっかりできているんですね。
こういうとなんか語弊があるように思うかもしれないけど、仕事を誰でも出来るところまで分類してやっているのが大企業の最大の良いところ。
基本的なことかもしれないけど、はじめは営業として配属されたから、僕もわりと最近は講演とかでお話させてもらうけど、営業は話が得意じゃないとなあ、と心配していました。全然そうじゃなくて、一番重要だったりするのは相手の話をしっかりと聞くこと。パソナ(人材派遣業)は面白いビジネスモデルでBtoBとBtoCと両方同時に体験できるんですね。
派遣社員を活用している企業に営業にいきます。一方では、派遣スタッフさんに対するカウンセリングをしたり、仕事の案内をしたり、どんな仕事がしたいかヒアリングしたり。
僕からするとBtoBとBtoCと両方経験できたことが、もう一つパソナに入って学べたことだと思います。
宮治さんはかなりポジティブですよね?
あんまり過去の事を振り返ったりはしないですね。
つねに前を向いて進まなければいけないから、過去はあまり振り返らない。振り返る暇なんかあってはいけないと思っているんだよね。あのころは良かったな〜とかあんまり考えないからね。もちろんその都度自分の行動をかえりみて反省はしますよ。
収入面に関して言うと、パソナ時代と今とでは差はありますか?
そうですね、半分になったからね、パソナ時代と比べて。でも、給料は自分で決めたから半分にしたっていうほうが正しい。ただ、今の方がぜんぜん豊かだし、単純に可処分所得は今の方が多いわけですよ。給料は半分になったけれど実家ですからね。実家で水道光熱費・食費も払っているわけじゃない。給料は実質減りましたが、圧倒的に支出も減りましたからね。しかも移動の時はすべて経費精算だから。
はじめはね、100%自分のやりたいことに時間を費やせる、こんなに幸せな事はないって感じでひたすら楽しかったけど、今は楽しいだけじゃいけないと思いますし、やっぱりちゃんと稼がないといけない。そこは経営者として少し前進したと思います。だから勤めてきている頃の給料と比べると半分になりましたが、全然苦しくはないし、むしろ今のほうが豊かです。
前編はここまでになります。
次号は宮治さんインタビュー(後編)を配信します!!
是非みなさまお見逃しなく!!
乞うご期待!
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みやじ豚
宮治 勇輔 Yusuke Miyaji
1978
神奈川県藤沢市出身
一次産業を、生産から生活者に直接届けるまでを一貫して農家がプロデュースする『新一次産業』の成功モデルを「みやじ豚」で実現するために日夜奮闘中。
かっこ良くて・感動があり・稼げる3K産業として、農業が魅力的な産業であることを訴える。
農業と地域の活性化がライフワーク。
詳しくは→ 【みやじ豚.com】
http://miyajibuta.livedoor.biz/
本村拓人(もとむら たくと)
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『大地のビジネスと挑戦者たち』
〜農業界の「逸材」が集い、その「進化」を熱く語った!
フォーラム『日本の農業はどこまで進化するのか』の記録。進化
をキーワードに、三人の農業者たちが農業・農村・農協・食料を縦横無尽に論じている。小気味いい一言一言が、「農業の価値再発見」のキーワードである。
【主な内容】
第一幕
進化する農業ビジネス/マーケットのこだわりを越えるな/ずっとブームの米。進化の可能性大/進化の敵こそ最大の味方/経営者は突然変異でやってくる/失敗が経営者を育てる/セーフティーネットは低く/ムラ社会再考、そして最高 他
第二幕
集落営農に未来はない/農業ほど面白いビジネスはない/自立してこそムラの一員/学ぶときは身銭で語る/別れ上手な顧客管理/生産者と販売者と消費者を繋ぐ/敗北する権利は挑戦者のみに
与えられる/食料自給率は国家のあり方 他

